Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
船集めは容易でない。
まして敵地だ。数千の兵馬が着いた日すぐ湖上を渡ったなどは考えられぬことである。おそらくは、顕家が着くいぜんに、先発隊が来てすでに幾日も前から愛知川口に手配をしていたものだろう。
いやそれにしても、湖東や湖南に住む水上生活者の協力がなければできないことだった。古来、堅田や焼津には、叡山勢力下の船持ちがたくさんに部落していて“堅田湖族”などと世によばれていたし、同様な水辺部族は、湖南の野洲川や能登川口にもあまたいたものにちがいない。――おもうに顕家は、後日の報賞を約して、彼らのかくしている“隠し船”を集めさせるに成功したものではないか。
とまれ、奥州軍七千は、湖東と堅田の間を幾往復もくりかえして、十三日から十四、十五の三日間にわたり全軍琵琶湖を船で渡った。
このさい、陸路では、瀬田ノ大橋が落ちているし、また足利方の占領区域ではあり、どうしても、奥州軍は一兵のこらず水路によったものと見るしかない。
「おお、援軍が見えたぞ! 援軍が着いた!」
「奥州の猛卒猛将」
「しかも七千が」
「万歳」
「万歳っ」
東坂本はまるで狂気のあらしだった。山門の大鐘も全山の衆徒へ、ごんごんと告げ鳴らしている。