Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
必定、尊氏は自滅か斬り死のほかあるまい。さあれ、其許たち母子は、朝敵のとがに連なる者とはせぬ。――安住の地を与えてやろう、これにおれ――と仰せてはくださいましたが、なんぼうにも居耐え難うて」
「では、無断でそこを去って出たのか」
「とは申せ、盲を連れていること。行き暮れておりますうちに……」
言いながら、尼は、うしろの覚一へいたいたしい目をやった。背の琵琶を重たげに、覚一はさっきから、墨絵の中の者みたいに、うつむいたままでいた。
覚一はやつれていた。
あわれなほど、草心尼にもそれは見えるが、若くして若さの影もない覚一の痩せは、ただの憔悴ともみえなかった。心の滅びとたたかっている苦悶に肉を削がれている若者の頬骨だった。
ひと言、ふた言……
尊氏は彼へはなしかけたが、たちまち目をそらしてしまった。
何か、この盲法師が、無言の責めを尊氏へ責めているように思われたらしい。
しかし、覚一は、そんな片言も言ってはいない。人のしている戦を、この地上の業を、むしろ彼は、自分の罪業みたいに身のうちで憂悶しているにすぎないのだ。ただ理解しがたい人の世の相剋ぶりが彼には悲しくて恨めしくて、つい尊氏へも、多くをいわず、うつむきがちな姿になっているものだった。