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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなたが足利の宰相尊氏どのでおわされるか」

賢俊のことばであった。

個人的な応答と察して、尊氏がしかる由をこたえると、賢俊もまた、

「拙僧は三宝院ノ僧正賢俊と申すものですが、つい先つ頃までは、院のお側近う仕えたてまつっていた中納言日野の資明におざりまする」

と、その身分を一応あきらかにしたうえで。

「このままでは世はどう成りゆくことでしょう。永劫、乱に乱を見ねば相なりますまい。かねがね、後伏見、花園、光厳の三院におかれましても、深くおむねを傷められていたところです。そこへ、はしなくあなたからのお働きかけでした。身を僧門に隠してはおりましたものの、この賢俊とても、同憂でない者ではございません。――御密使の介と薬師丸から委細を聞くやいな、よろこんで、いや身命を賭して、このお仲立ちに当った次第でございまする」

「…………」

「足利どの」

「はっ」

「同慶のいたりです。ここに不肖賢俊を以て、すなわち、光厳上皇の御院宣を、足利家へお降しあらせられました。つつしんでお受け申されい」

陣中、三方の用意もない。

賢俊はそれの奉書と、それに添えられた錦の旗の一巻とを、両の手に持ち添えて、すこし前へ身をすすめる。