Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
それは、女性のお方とだけを、ここでは、おうちあけ申しておこう。くわしくいってしもうては色も香も浅くなる。ま……いずれ晩に」
忠顕も忙しげだった。右弁官の局から迎えにきた蔵人と袖をつらねてすぐ立ち去り、義貞はそのまま退出して、高倉ノ辻へ帰った。
私邸に帰れば彼を待つ客や軍務はここにも山とつかえていた。“時の人義貞”にまたたく春の半日は暮れてしまう。「所用あれば、あとの時務は一さい明日聞く」と表方へいいわたして、湯殿の湯けむりに浸ったのがもう約束の宵だった。そろそろ千種忠顕が見える頃である。
「折入ってとは?」
千種とは、刎頸の仲だ、悪いこととはおもわれない。
それよりも、その千種が連れてくるといった女性とは誰なのか。そのことのほうが彼には昼から気がかりだった。思い当りがないでもなく、あるいはと、心が浮いてくるからでもある。
左近衛ノ中将に叙す
との恩命に接したのは、さきごろ兵庫合戦でまだ在陣中のことだったが、凱旋の日、さっそくそれのお礼とご報告とをかねて参内し、たいそう面目をほどこしたのみならず、宮中の慣例にもないほどな、おもてなしを賜わったことがある。