Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
――さるがゆえに、みかども准后の御方も、彼は情けある武士よと今もって信じておられる。また深くそのせつの道誉の忠義をお憶えあらせられて、ここは助けとらせよとの叡慮でもあるらしい」
「…………」
「ところが、左中将には御不服との聞えがある。いま御辺につむじをまげられたら、これまた朝廷のみならず宇内の大事といわねばならん。そこで忠顕がたれのおさしずというでもなけれど、ま、篤とお胸をうかがってみたいと存じてまいったわけだが」
「ご苦労でした」
義貞は冷たい杯を手に挙げて白く笑った。
「申しおくが」
義貞は、あらたまって。
「准后のおぼしめしは情としてわかりますが、義貞の不服は一切私心ではおざらん。ただ軍のためを思うのみです。せっかく、戦勝の瑞気にわいている今日、道誉のごとき二タ股者、いや三ツ股者の降参をゆるすなどの過誤を冒してはと」
「が、人には功罪いずれもある」
「道誉に何の功がかぞえられましょうか」
「まだ北条の勢威もさかんだった正中の頃から、彼のみは、幕臣でありながら公卿方に交わり、探題の弾圧がくだる日も、蔭で宮方をたすけておった」
「日和見者の打算、それなど、功というには当りますまい」