Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
「そうだろう」と苦笑して――「めったに、ゆるすはずはない。世上は殺伐、子を遠くへは出すなと、この父がかたく申しつけておいたのだから」
「ですが父上。河内の奥にばかりいると、無性に正行は遠くが知りたくなって来ます。居ても立ってもいられなくなって来て」
「どうしてだ」
「日本じゅうが戦争なのに、河内の奥で自分だけがこんなにしていていいのかしらと思うのです」
「悪いことを、母がさせておくはずはない。あいかわらず観心寺の御坊の許へ通って、勉強はしているのであろうが」
「はい」
「それでいいのだ。そちも世を案じるなら、学問に精出して、今の世情などにはわき目をふるな。すぐそちたちが、いまの大人に代って、その乱脈な世をになう時が来る」
「でも、叔父君は、そんな世間見ずではいけない。正行もはや十四、初陣もすべき年ごろなのに……と再三、母上へお手紙を下さいました」
「正季がか?」
「はい。四天王寺の御陣所からです。……それでじつは、叔父君を四天王寺にお訪ねして、京へ廻って来たのです」
「ははは……。さては母がゆるさぬので、正季を頼んで出て来たわけだの。して正季はそちに、何を教え、何を見せたか」