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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

「まだ物忘れする年ではあるまい。過ぐる千早金剛の大戦中、ここもあぶなくなって、お師の時親さまには、ついに山をすてていずこかへ去り、いらい杳として御消息もなくなった」

「へい」

「おまえら山荘の召使は、このへんの山畑をもらって、あとに残ったわけだろう」

「さようで」

「しかし、ただ残されたわけではなかろう。そのさい、老先生からこれだけはと、かたく託された物があるはずだ。その軍書一切はどこにあるか」

「ございません。そのような物は全く以てぞんじませぬ」

「とぼけまい、甚内」

と、正季は一通の書面をとり出して「――読め」と、彼の目のさきへ投げやった。

まぎれもない時親の筆蹟である。甚内はくりかえし読んでいた。時親がどこかになお生きていたなども驚きらしい。書面には、秘蔵書全部の託送が正季宛てに書かれている。その所在は、いぜんの老僕甚内が承知のはずともしてあった。

「わかったか」

「申しわけございません。そのせつおあるじから、かたく秘事にしておけと、申しつかっておりましたため」

「いいわけはよい。はやくその在る所へ案内せい」

甚内は先に立ち、段々畑の下の長屋裏へ伴った。そして蓄備倉のような洞穴のおくを示した。