Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
新政体の発足とともにせっかく用いられてきた年号だが、事々不吉が多かったようである。尊氏の西走と、洛内の人心一新を機として、よろしくこのさい改元を布かるべきである、というのがおもなる理由であった。
何も天下の吉凶は年号によるものではあるまいに、時代の新しい思想を持ち、それの実現を抱負としている堂上が、わけて若公卿までが、こんなことには完全に一致して、早々、令を見るに至ったのであった。
二月二十九日以降は、従来の「建武」を廃して、
延元
とするとなったのである。
ところが、奇しくも。
この延元元年の二月二十九日は、さきに西国へ遁竄していた尊氏が、敗残の兵をのせて、長門の赤間ヶ関をはなれ、海上一日の航路をへて、たそがれ、筑前の芦屋ノ浦へただよい着いた日にあたっていた。
が、ここで断わっておかねばならない。――それは、尊氏の侍臣右馬介の河内潜行より約一ト月もさかのぼッていることである。――すなわち尊氏が、ひそかに、
「そちだけは、ここを去って、河内の楠木ノ兵衛に会うて来い」
と、介を密使として途中から放したのは、それ以前のことに属し、従って介が、下赤坂や金剛の峰をうろついていた時よりも、日はあとへもどり、同時にその天地もここで筑紫の一角へ移るとする。