Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
しかし彼らもこんどは、
「足利殿の御用とあれば」
と、進んで課役に応じ、屈強な串崎男八十人は水夫の群れに投じてきた。中には赭顔白髪の老船頭もいて、これらは“風見”“水見”といって、内海の水路や天気癖などは掌をさすようにそらんじている海の古老たちだった。
すでにまったく準備は成ったといっていい。
もちろん、このあいだにも、尊氏の急援を、今日か明日か――と待っている播磨、備中方面の味方へは、忍びを放って、
「早や尊氏はここまで来ているぞ。九州、四国も挙げてわが麾下にあれば、不日、ごく近々には馳せのぼらん。それまでの怺えだ。歯の根を噛んで、新田勢を食い止めていよ」
と、激励していた。また、あらゆる手段を講じて、ここの食糧を備中、播磨の味方へ密々輸送もさせていた。
けれど、左右の諸将は、ようやく、尊氏の心裏をうたがい初めていた。――なぜなれば九州ではあれほど迅速な行動をみせていた尊氏が、
「なぜか?」
と、怪しまれるほど、ここではおちついていたからだ。
ここ長門の府中滞陣も、いつか二十日以上になっている。――するとここに果たして、尊氏が気にかけていた一報が九州から聞えた。