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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme

Aozora Bunko

分るのですか」

顔の色まで変えて、彼女は彼の呪師めいた言を、そのからだから振り払うように抗議する。怒ッてさえ見えるのだった。

赤鶴もこれにはとむねをつかれたらしい。仕事の話となると、いつもすぐ仮面作りの権化となってしまう半喪心の状態から、ただの貧しい一面の仮面彫り職人に返って、急に、雄弁だった舌の根もどこへやら、

「いえ。け、決して」

と、どぎまぎ、吃ッた。

「た、ただ、そんな気がしたと、申しあげて、みたまでで」

「だって。時も時です。いくら世情にくらい仮面作りのあなたでも」

「わ、わかっておりまする。きのうきょう、御領下の駒音でも」

「……でしょう。……この御本屋でも、赤坂城でも、ご出陣のせまっている今。わたくしたちの端までが、どうぞ、いくさに勝って、おつつがないお帰りの日があるようにと、胸のいたむほど、祈っているときだというのに」

「……申しわけございません」

「ああ、打ち消されても、なにやらもう」

「どうぞ、お気にかけてくだされますな。世事学問、何ひとつ知るではない仮面師風情のたわ言よとおぼしめして」

「でも、赤鶴さま」

「へい」

「ほんとに、あなたには、おやかた様の翳に、どこかそのようなものが感じとれるのでございましょうか」