Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
だが、直義のこの一情事は、やがて公な「新千載和歌集」の雑ノ部に載せられたことだから、ひとり尊氏と範国のみが知っただけではなかったろう。
その「新千載集」には、左兵衛ノ督直義と、名もれいれいしく、こう見える。
建武の頃、おもひのほかの事によりて、筑紫にくだりけるが、ほどなく帰り上りけるに、都に残しおきける女の、さま変へて、ひとに侍りけるよし聞きて、詠みてつかはしける。
袖のいろの
かはるを聞けば旅衣
立ちかへりても
なほぞ つゆけき
いきさつを考えるに、つまり直義は、自分の九州遠征中に、女が生活のため、公卿か富裕の物持かに、身をまかせてしまったと聞き、この苛烈な戦争中だが、業腹が煮えてたまらず、女の許へ、つらあてのような、忘れかねるような、男の迂愚を、自嘲してやったものにちがいない。
おそらく、尊氏は、何も弟へいわなかったろう。けれどいちばい、心では直義が好きになっていた。戦よ、早く終結を告げよ。あとの果報は、すべて直義へ与えようぞと、一そう思った。
黒い紅葉
直義はつねに誇りにみちている。おそれるものを彼は知らない。長期ないくさは、元からのその性格を、なお完全にまで、鉄の血の人間にしていた。