Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(七) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 330.262 Zeichen · 662 Bildschirme
譲位は、事実で示されたのだ。――それでよい、としていたものと思われる。
しかも尊氏は、その直後に、後醍醐の一皇子、成良親王をあげて、
“光明天皇の皇太子”
と、なした。
おそらく、これを以て、彼は、後醍醐への忠誠をあかしだてようとしたのであろう。そして後醍醐もまた、たいへん、およろこびであったと「園太暦」は記している。
事実、その通りであったろう。――旧来の慣例を破ったのは、ほかならぬ後醍醐自身であったのだから、破棄されても仕方がないところを、尊氏のほうからすすんで、両統交代の制をみとめ、将来の帝位継承は、ひとり持明院統の君だけでなく、大覚寺統――すなわち、後醍醐の子孫も――帝位につく資格があるものと、はっきり、示したわけなのだから、これが、およろこびでないはずはない。
その立太子の式は、十一月十四日に挙げられた。――自然、花山院の御幽居もまた、一ト頃のきびしさを解かれ、ひいては、後醍醐と尊氏との仲も、次第に円満を加えてゆくかと思われた。――だが、天下の風浪はまだ高い。なかなか外界の世上は、そんな一小康もしていない雲行きだった。
十二月だった。
まだ門松や竹こそ見えないが、町にも何となく年暮げしきが色めいて、