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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

をただし、つい今しがた柵に姿を現わしたものだった。

島後の会合では、何事が謀られたのか。能登の顔つきは恐ろしく研げていた。屯の部下たちですら彼のいつにない無口や硬ばッた形相を、なにか近づきがたいものに見ていた。

いつか濁赤い夕雲も薄れ、月のない宵がこの大海の中の小陸地をひっそりと区ぎッている。丘上の黒木の御所には、いつもどおりな小さい灯がポチとあった。

「……よいか」

能登は、耳打していた。

番卒の頭らしい男の肩をつかまえてである。

「いずれあとではわかることだが、ここのところは極秘なのだ。自然、長い月日にわかるのはいいが、いま島民を動揺させてはちとまずい。……で、おれが今夜行った先で、どんな物音がしようと叫びが聞えようと、決して駈けつけて来るにはおよばんよ。いいか。あとの心得は、あとで申しつける」

「……はっ」

組頭の顔は、土け色になって、返辞も喉の辺だった。

能登はもう丘へ向っていた。左の手を大太刀の鯉口に当て、右手で自分の顎をツネるような恰好をもちながら鈍々と道をのぼりかけている。

おそらく清高の島後の館では、彼も鎌倉の特使にじきじき会っていただろう。