Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
こんなはずではない」
「ではすぐ首をぶち落してくれとでもいうのか」
「みかどに伺ってみろ」
「匹夫下郎の処分まで、いちいち叡慮に伺うばかがあろうか」
「うんにゃ、おれはみかどのおことばなればこそ、節を変えて、勤めたのだ」
「節を変えて。ふふん、おのれにも節はあったのか。知らなかった」
「みかどは、うそをつくまい。随身せよと仰っしゃった。今からでもと」
「だまれ。うぬのような奴は、宮方では使い物にならん。ただ、地方(本土)の味方へはいい島土産ではあるのだ。……がしかし、うるさいな。おい」
悪四郎は後ろの仲間となにか目交ぜし出していた。すぐ死の予感をもった能登は近づく者の手に体をちぢめたが、彼に与えられたのは猿ぐつわだった。
船が洋上へ出るにしたがい、さすが波のうねりは高く、またどこかには月の色が淡かった。下弦の月である。親船の黒い帆蔭になっている。
こう三ぞうの速舟に守られたその親船は、ほかの舟との速度にたえず気をつかいながらも、
「ここまで来れば――」
といういっぱいな安心感をも乗せていた。
しかし、そこの舳から青い洋上へ、眼をくばッている成田小三郎だけは、まだそんな姿では決してない。