Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
「まあ読んでみい」
「……は」
黙読してゆく源盛の瞼は赤くうるんでみえた。
永観はこう書いている。
――先頃はつらい別れ方をしたが、これでわしもさっぱりした。正直、おまえ方の亡父行高どのに、名和家の後事やおまえ方の後見などを頼まれて死なれたことは、ずいぶん多年の間の心の荷だった。
しかし昨日今日、船上山にひるがえる無数な旗幟をはるかに見て、これでわしの任はすんだと、ひそかにはうれしい気もする。
だが、わしは根ッからの鎌倉武士だ、まだ弓勢に年は老らせていないつもりだ。そのつもりで貴さまら兄弟も善戦してみせてくれ。わしも決して弓の手を弛めはしまい。
ただひとこと言っておくが。
ゆくすえ再び名聞や利欲の争いに踏み迷うなよ。わしなどは古びた最後の鎌倉武士なのかもしれないが、年の功とやらでそれぐらいな将来は眼に見える心地がするのだ。
いずれ拝面しようが、そのときはおそらく無言の対面となろうから、なつかしきままの一筆を。
えいかん頑老
「……兄者。これは失くさず大切に仕舞っておくことですな」
状を巻いて、それにお辞儀をしながら、源盛は長年の手へ返した。
「おっ、ここにおいでか」