Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
「どなたか、おいでください。お内の人、お内の人」
と、大声で呼ばわった。
おそらく狂女の身寄りたちは、彼女が一ト間のうちですやすやおちついているものとのみ安心していた隙だったことなのだろう。姑女らしい婦人やら二、三の若党らがすぐ仰天してそこへ駈け集まって来た。――そして元の一ト間のうちへ屏風囲いにして、口々になだめたり念誦の経をくり返している様子であった。
「…………」
浄明は黙って立ち去った。
なぐさめる言葉もなかったのだ。彼はその晩のうちに探題北条英時の前へもどって、見とどけたかぎりのことを、事こまかに復命していた。
「そうか」
英時も沁んみりして、
「では察していたとおり、媼はやはり菊池寂阿(武時)の後家だったか」
「は。わざと問わずに戻りましたが」
「そして、犬射ノ馬場で発狂したのは、寂阿の子三郎頼隆の妻であったのじゃな」
「それも嫁いでわずか十六日しか一つにいなかった新妻とか……、いや何とも敵ながらあわれなことでござりました」
「頼隆の供養をしてやれ」
英時の命で、まもなく息ノ浜の松蔭に、一つの卒塔婆が建てられた。そしていつとはなく、そこへ詣る浦人たちは、かならず冷たい水を上げることにしていると、「博多日記」