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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

……その果てが、正中ノ変よ。つづいて先帝の、よんどころない隠岐遷し、さらには不逞な公卿坊主らの処刑となったのも、申さば、やりたくはないことを、しいて仕向けられたものだ」

「…………」

「が、わしは清盛でない。清盛には、野放図もない夢が多すぎた。そのあげくに、あの熱病死。そして一門も壇ノ浦のあわれを見たわさ……」

急に彼は、海に眩を起したような眉をして杯を下におき、眉の辺を指で抑えた。――が、すぐケラケラ笑い出して、

「鶴亀、鶴亀。……壇ノ浦とは、地形がちがう。鎌倉の海では、さはさせん。たとえ敵が来るとも、さはさせん」

と、海へ向って、子供のように、胸を張った。

「いや、太守」

侍していた道誉が、そのとき、初めて口をひらいた。

「茂時どのが申されたのは、今日の江ノ島詣りと、平相国の厳島詣でとが、さも似たりと、仰っしゃったまでのことです」

「高時と清盛とを、くらべたわけではないと申すか」

「さようです。清盛公は、福原から厳島へ、月詣でもしたとのこと」

「その点も、似ていないな。わしの方が、ずんと不信心らしい。ははあ、それでか。……それで過日、江ノ島弁財天の夢見などしたわけよな」