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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

「まずは、ヘタに触るな」

と、いつも通りすぎていたのである。――それをいま、高時が、さも憎げに「この時もよそにして、久しく顔も出しおらん」と、怒りをもらしたので、道誉にすれば、高氏の殻を割る、勿怪な鎚の柄と、すぐ考えられていた。

「……なるほど、仰せのとおりでございますな。私もこの春、洛南の羅刹谷で会うたきり、足利殿には、ついぞお目にかかっておりません。近ごろ、どうしておられますやら」

「病気だと称しておる」

「そんな噂も、ちらとは、耳にしていますが」

「そちにしても、まにはうけまい」

「が。ご不快では」

「いやいや、よく仮病をかまえる男だ。這奴の不快とは、心の不快で、去年の出陣に、武者所がヤイヤイと催促したのを、恨みとしておるらしい」

「去年の出兵も、出渋ったのでございましたか」

「もっとも、陣触れをうけた前日に、父の貞氏が、あいにくと病死した。子としては、忌明けの法事なども見て……と考えていたろうがの」

「ははあ、そんなことですか。もし戦陣なら親の屍をふみ越えてさえ戦うのが武門のつね。たたみの上でみまかった父の死水を取って、征途にのぼれるなどは、まだ倖せではございませぬか」