Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme

Aozora Bunko

「はい」

「母上のそばへ行け」

じつは自分を突き放していたのである。正成はのめるように足を早めだしたのだった。

すると、もう一棟の別院の内から、あたまに繃帯した者やら、樽のような脚をして、やっと歩けるようなのがまろび出て来て彼の前に立ちふさがった。

「おやかた。お供をねがいまする! ご陣中へお連れねがいまする!」

「や、おまえらは」

「佐備正安です」

それについて、口々に。

「矢尾常正にござります」

「鷺平九郎の弟、十郎です」

「八尾ノ新介です」

正成は叱るようにさえぎった。

「待て待て。おまえらはみな重傷者ではないか。はやく体を癒せ」

「いや、今日、転法輪寺へお見えの上、ご家族ともお会いなされたのは、すわや最後のお覚悟だと、あれなるほかの者もみな言いあっておりまする」

指さすところを見ると、一堂のうちには、まだ数十人が枕をならべ、そしてこっちを見ている様子だった。

「だから連れて行けと申すのか。覚悟の日だと申すのか。何をいうのだ。いまさらのように」

正成は、なだめるのに骨を折った。

「さいごの覚悟などは毎日のことだった。またおそらく近日には、これまでに見ぬ寄手の総がかりもあるだろう。