Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
「何か先生へたんかを切ったんでございましょう」
「きさま、なかなか油断はならん。生酔い本性たがわずだ」
「いえね先生、ここんとこ、変にイラついていた自分が自分でもよく分っていたんでございますよ。なにしろ長いこと獣じみた戦場ばかり飛び歩いていましたので、女の肌などは半年以上もふれてやしません。そこへもって来て人里を嗅ぎ、空き腹に茶碗酒と来たんですからムリはない」
「自分で申すわ。あきれたやつだ」
「もう、ご心配はおかけしません。今朝はあたまがスウとして気も柔らかになりました。ついでに、ゆうべの女に朝飯を持って来るようにいっておきましたから、ま、もいちど小屋へもどって」
と、大蔵は湯など沸かして、山荘にいるときのような忠実ぶりを見せるのだった。
そこへこの辺の売女だろうか、粳の粉をまだらに顔へこすったような、しどけない身なりの女が来て、大蔵に何かを渡し、もういいといっても帰らずに、大蔵にいちゃつきながら一しょに時親の食事を支度したり、弁当までをこしらえる。
「しようがねえな、ほれ」
と大蔵は、なにがしかの銭をまたやって、やっとこの深情けな女を追いやり、やがて昨日のごとく、時親を牛の背に乗せて、淀の堤を、京の方へあるいていた。