Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
ところが、新田足利の両家は、多年、人も知る犬猿の仲だ。
いまもって、国もとの隣国間では“新田とんぼ”と一方でさげすめば、一方もまた“足利案山子”と応酬して、決して、どっちも下る風ではない。
それゆえ、そんな確執のなかでは足利殿に内々の会見をうるなども容易でないし、よしお会いできても、事の不成功に終るのは見えすいている。「……なんぞ一色殿によい御工夫はないか」。それがその夜の集合と密談のかなめであった。
密会の目的がこうだとすれば、なるほど、現下の洛内ではめったに、こんな集合は危険で出来まい。――右馬介がここを選んだことにもうなずかれる。
そして彼が、吉致にどんな示唆を与え、また、いかなる細目までを計り合ったかはしれないが、夜が明けると、いつのまにか、昨夜の集客はみな、羅刹谷からその姿を消し去っていた。
朝は、盲の覚一にも、心が濡れるほど美しい。
「…………」
きまって、朝の一ときを、彼は高床の欄のほとりに坐って、独り耳を洗っている。
あらゆるものが音楽であった。ほそ谷川も鳥の音も、雲の歩み、木々のさみどりまでが、彼には、楽譜となって、見えもするし、聴えもする。