Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
刑部は眉さえ白い老齢だが、体はすこぶる頑強であった。すぐ自分の居間へ右馬介をいざない入れて、
「どうだな、上方は?」
と、水入らずの仲になる。
「待てば海路とやら、諸相、いよいよ幕府の終焉をあらわしてまいりました。御宗家からここへも、何かとはや、密々のおさしずが?」
「む。ご舎弟直義さまの名で、そして諸事の奉行には、高ノ師直があたって、いろいろなお支度を、この地でととのえおけとの御内命だ」
「馬匹、食糧、兵具、何かと大量にのぼりましょうな。足利ノ庄のご軍備は知れたもの。大蔵のおやしきには、なおさら、かたちばかりの用意しかございませぬで」
「さ……それで若い者から長屋侍も毎日みな出払っておる。わしを留守番役の恰好でな」
なるほど、くぬぎの防風林と石築土にかこまれたここの中には、いつもたくさんいる若党や雑人たちの影もなかった。右馬介の兄や甥やらも見えない。厨の女たちの声と鳥の音だけがしずかだった。
それだけに、父子の密談はかえってゆっくりできた。とくに中央の情況を刑部は熱心にききほじった。そしてなんども大きくうなずいた。
「そうか、それでは六波羅もさらに援軍を求めずにいられぬな。