Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
きのう彼はその清高の室から「――良人の大事について、ぜひ会って話したい」との使いをうけていたし、清高の帰島にたいする臆測さまざまな噂も耳にはしていたのである。
が、内容については、何もまだ詳しいことは知っていない。――清高の口からいま、打ち明けられて、初めて、
「ふうむ」
と、大きく唸いたものだった。とたんに貪欲な眼いろもそれに伴って、
「では、奥方の御心痛とやらも、そのことでございましたか」
と、甥の二の句もまたず、
「それこそ、時が与えてくれた幸運だ。つかまねば自然の命にそむく。いや、いたさぬことには、鎌倉殿へも相すむまい」
と、大乗り気で励ました。
「しかし、妻は」
と清高が、その妻の反対している家庭内の苦悩をはなすと、能登ノ介はまた、わざとのように、甥の気弱さを、あざわらった。
「奥方が御同意なきはむりもない。かかる大事を女に計れば、一応どんな女でも、おののき厭うのはあたりまえだ。……しかし男があぶない望みも首尾よくしとげて、出世の栄に会う日ともなれば、また他愛ない者でもおざる。まかせられい、奥方のほうは、この能登に」
彼は、骨の髄からの武辺でまた功利一方の人間らしい。