Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(四) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 229.324 Zeichen · 458 Bildschirme
察するに。
その瓊子もよそながら、以後は鰐淵寺の僧都の庇護の下にあるのであろう。そこで僧都頼源のたよりに託してこれをとどけてよこしたものにちがいない。
帝はすぐ、べつな十冊の書物を披いてこれには倦むことをしらなかった。寝るまと食事のほかは、机によってお眼を離すこともない。
そのどれにも、欄外には、漢文のむずかしい朱の書き入れが、随所にあった。
また、文の行間にも、朱筆で点々を打ったり、こまかい書入れが、やたらにみえる。――すべて送りぬしの、頼源僧都の筆蹟なのだ。
帝はその附点やら朱書の部分を二日がかりでべつな紙へ写しとった。すると書物の内容とは縁のない独立した長文のものが生れてきた。
――あきらかに頼源のことばである――つまり浩瀚な書物をつかった暗号書簡だったのだ。そしてこの巧妙な情報手段は、帝にいろいろな耳あたらしい本土情勢をつたえていた。
せっかく、吉野大衆を擁して、吉野城に旗上げされた大塔ノ宮も、鎌倉の大軍にかこまれて、いまは命旦夕の危急にあるなどという情況も、これによってお知りになった。
しかし金剛や千早のまもりは堅いとある。
中国、四国、九州の宮方は、いよいよ旺に、日にまし勢威を加えているともある。