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Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme

Aozora Bunko

装いをしている点を訝しんでいるのではないであろうか。彼女は男の執拗な眼づかいの理由が、前者でなくて後者であることを願ったが、それにしてもこう云う風にジロジロと見られることは、決して愉快なものではなかった。彼女は、自分がつい昨日も、あの時から引き続いて何回目かの見合いをしたところであり、今日はその帰途であることを思い、もしその事実をこの男が知ったらと思うと、自ら身が竦むような気がした。それに生憎と、今日は一昨日とは違って、余りぱっとしない色合の友禅を着、顔の拵えも至って粗末にしているのであった。彼女は汽車旅行をすると人一倍容色が窶れるたちであることを自分でも知っているので、何度か顔を直しに立ちたい衝動に駆られたが、でもこの場合、この男の前を通って洗面所へ行くことは勿論、そっとハンドバッグからコムパクトを取り出すことさえも、弱味を見せることになるのが厭であった。ただこの男が普通車に乗っているところから見て、東京まで行くのでないことが察せられ、何処で降りるか知らんと云うことが頻りに彼女の気に懸ったが、藤枝駅にさしかかると、男は立って網棚のパナマ帽を取って被り、去り際にもう一度無遠慮な一瞥を投げて降りて行った。