Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 226.715 Zeichen · 431 Bildschirme
雪子はしかし、その男が去ってしまってからも、あの見合いをした前後のことを後から後からと、疲れた頭の中に止めどもなく想い浮べていた。自分があの男と見合いをしたのは昭和二年?………であったろうか、いや、三年であったろうか。………自分はあの時二十歳をようよう越えたぐらいで、あれが自分の経験した最初の見合いではなかったろうか。………だが、自分はなぜあの男を嫌ったのであろうか。………義兄はあの時大変な身の入れ方で、三枝と云えば豊橋市屈指の資産家であり、あの男はその家の嗣子なのであるから、雪子ちゃんとしても不足を云うところはない筈であるとか、現在の蒔岡家としては勿体なさ過ぎる縁であるとか、ここまで話が進んで来て承諾してくれなかったら僕の立ち場がなくなるとか、手を換え品を換えて口説いたのであったが、………自分が何処迄も「否」で突っ張ってしまったのは、あの男の容貌に知的なものが欠けていると云うこと、―――それが唯一の理由ではなかった。容貌ばかりでなく、あの男は中学時代に病気したので上の学校へ這入らなかったと云っていたが、実際は中学校の成績が芳しくなかったことが分ったので、いよいよ厭気がさしたのであった。