Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
「もう悉皆好い。この頃は寝られ過ぎて困るくらいだ」
「宜うございましたな、お早くて」
「お前は何うだい?」
「私はもう何ともありません」
「あなた、新太郎は真正に生れ更りましたのよ、今度は褒めて戴きます」
と母親が早速推挙した。しかしこれでは今まで仮病を使っていたことを認めた形で、寧ろ有難迷惑だった。
「一家は矢っ張り斯うやって揃っていられるようでなけりゃ本当じゃない」
「然うでございますとも。私もこれで大安心を致しました」
「これからさ」
と父親は勘定高いから、別に褒めなかったが、至極満足のようだった
新太郎君は今まで、我儘息子に能くあるように、父親を恐れてばかりいた。理智に強い男親には頭が上らない。その分情愛に脆い女親を附け込む。男親には一も二もない。女親は場合によって威しつける。使い分けをして甚だ宜しくない心掛けだった。ところがこの晩はいつもと違っていた。鬼瓦と呼ばれて有名な盤台面が一向怖くない。父親の前へ出てこんなに平気でいられるのは初めてだった。心に工むところがあると、兎角悪びれる。正直に勤めていれば恐れるところがない。慾が業をする。新太郎君は早く斯う肚を極めれば何のこともなかったのにと思った。