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Japanische Klassiker mit Furigana

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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme

Aozora Bunko

と開き直られゝばそれまでの話で、余他は全く対等の競争だ。権力は間もなく何方かに落ちつく。松浦家では奥さんの貞子さんが元来適者の上に有らゆる優勢条件を備えていた。貧乏士族の次男から旗本の資産家へ婿養子に納まった清次郎氏は最初から影薄い。尋常の勝負をしない中に組み伏せられてしまった。気の利かないこと夥しい。伝説だから真偽の程は保証出来ないが、その当座は奥さんをお嬢さまと呼んでいたそうだ。

「皆に笑われますよ。お貞とお呼びなさい」

と姑女さえ見兼ねた。

「お嬢さま、それで宜しゅうございますか?」

「結構よ」

「それではお嬢さま……」

「あら、又」

「今のは前支度でございます」

「手間のかゝる人ね」

「お……矢っ張りいけません」

「胸がドキ/\して?」

「えゝ」

「宜いわ。そんな意気地なしなら、私、離縁にして上げるわ」

「やります/\。お貞!」

と呼んで、清次郎氏は一生懸命に唇を押えていた。口が曲るかと思ったのである。

それで今日でも天下晴れてお貞と呼んでいる。

「お貞や」

「何でございますか? あなた」

と来る。貞子夫人は全権を握っていても、清次郎氏を主人として表向きに立てることを忘れない。