Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
と貞子夫人は何処までも主張する。
「まさか」
「私、口惜しゅうございますわ」
「或はこの看護婦さんのことを言ったのかも知れません」
「いゝえ、この看護婦さんは御覧の通りお若うございますわ」
「お貞や、俺は何にも言いはしないよ」
と清次郎氏は再び否定した。いつの間にか寝返って此方を向いている。
「話をすると煩さいかい?」
「いゝや」
「しかし頭を使うと悪いから、俺はもう帰ろうか?」
「いゝや」
「兄さん、まあ宜しゅうございますわ」
と貞子夫人が引き止めた。
「未だ頭が弱っているんですな」
「然うでございましょうかね。昨夜も何か独言を申しましたよ」
「自分では気がつかないようですね」
「さあ」
「兎に角来る度に快い方へ向いていますから、張合がありますよ」
「今度お出の時はもう坐れましょうよ」
「本当にお蔭さまです」
「何う致しまして」
「最初の様子じゃ直ったところでヨイ/\になるかと思いましたよ」
「家の中で起ったのが拾いものでございましたわ」
「外でやって御覧なさい。そのまゝです。私も恐ろしくなりました」
「兄さんは大丈夫でございますわ」
「いや、この病気ばかりは何時出るか分りません。こんなことを言っていて、帰りに往来でひっくりかえるかも知れません。