Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
相牽く力が強いのみならず、優しい一方だ。然るに伯父さんは元来他人の上に、始終苦虫を噛み潰したような顔をしている。兎角取っ付きが悪い。殊に寿商店へ勤め始めてからはこの伯父さんが御主人様だから、二重に煙ったくなった。
「親父は何うも公明正大過ぎて困るよ。店のことになると他人も身内も見境がない」
と新太郎君が零しているほど訓練が激しい。伯父甥の間柄に主従関係が加わってから、寛一君は何うも圧迫を感じていけない。忠実に仕事をしていればそれで仔細はないのだが、使われている上からは、気に入りたいと思うのが人情の自然だ。一挙手一投足、伯父さんに監視されているような心持がする。求めるところがあると相手が負担になる。これが勤め人の浅間しさである。勤めるところは充分勤めていながら、兎角念の入った苦労をする。以前は何うでも構わなかった伯父さんの御機嫌が昨今は始終気にかゝる。
しかし西川さんは息子や甥が想像しているような唯むずかしいばかりの分らず屋でない。そこは腕一本で身上を起した苦労人だ。酸いも甘いも能く心得ている。その初め寛一君を店へ貰い受ける時も、寛一君のお父さんへ予め懇望して将来のことまで約束したのだった。