Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
「晩に祝勝会があったんでつい失礼致しました」
と不可抗力のように言った。黙って聴いていた秀子さんはこの時、
「西川さん」
と呼んだ。
「はあ」
「あなたは洋行なすっちゃ如何?」
「はあ?」
「あなたなんか洋行してベスービアスの噴火口へ身を投げておしまいなさいよ」
新太郎君は答える言葉を知らなかった。尤も秀子さんに断わられるようなら然うしようかとまで思い詰めた旨を先頃冗談ながら話したことがある。
「秀子さん、あなたは何うなすったの?」
と友三郎さんが聞き兼ねて窘めた。秀子さんはプイッと立って出て行ってしまった。
「何うなすったんでしょう?」
と新太郎君は合点に苦んだ。
「この前の日曜の件ですよ」
「はゝあ」
「秀子さんは朝から待っていたんです。すると十時頃電話で夕方と仰有ったでしょう?」
「えゝ」
「その夕方が祝勝会でお流れになったから、大分お冠を曲げていましたよ」
と友三郎さんが説明してくれた。
「悪いことをしましたね。あやまりましょうか?」
「いや、それには及びません」
「しかし……」
「あなたは今が大切ですよ。折れてばかりいると増長します。ナカ/\我儘ですからね」
「そんなこともないでしょうが……」