Japanische Klassiker mit Furigana
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
Lesen Sie 脱線息子 (だっせんむすこ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.293 Zeichen · 221 Bildschirme
「おや/\」
「西川さん、あなたは先刻私がお時計を返しに上った時、迚も困ったようね?」
と秀子さんが話し続けた。
「えゝ。海の中であなたに諢っているところを見られていますからね」
「まあ、それで?」
「えゝ」
「それじゃ私、あんな大きな声を出して、さぞ御迷惑でございましたろう?」
「大いに迷惑しましたよ、冷汗三斗の思いでした」
と新太郎君は漢文を用いて形容した。
海水浴場に着いて皆泳ぎ始めた。
「原田さん、私、深いところへ行きますから御保護を願います」
と秀子さんは寛一君の腕に捉まった。寛一君は少時お相手を勤めてから甲羅を乾した。
「秀子さん参りましょう」
と間もなく新太郎君が申出た。
「私、厭よ」
「参りましょうよ」
「厭でございますよ」
「何故?」
「又御迷惑をかけますからね」
「もう帰ったから大丈夫ですよ」
「それだから厭なんですよ。私、御両親の前に私を恥とするような方とはもう御交際を願いません」
と秀子さんは凛然として謝絶した。新太郎君は又冷汗三斗だった。それから種々と御機嫌を取ったが更に効果が見えなかった。帰りには、
「僕はもう何が何だか分らない」
と泣きそうになっていた。