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Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

Lesen Sie 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.224 Zeichen · 269 Bildschirme

Aozora Bunko

女はスリッパアを揃え直して、わたくしを迎え、納簾の紐を分けて二階へ案内する。わたくしは梯子段を上りかけた時、そっと奥の間をのぞいて見ると、箪笥、茶ぶ台、鏡台、長火鉢、三味線掛などの据置かれた様子。さほど貧苦の家とも見えず、またそれほど取散らされてもいない。二階は三畳の間が二間、四畳半が一間、それから八畳か十畳ほどの広い座敷には、寝台、椅子、卓子を据え、壁には壁紙、窓には窓掛、畳には敷物を敷き、天井の電燈にも装飾を施し、テーブルの上にはマッチ灰皿の外に、『スタア』という雑誌のよごれたのが一冊載せてあった。

女は下から黒塗の蓋のついた湯飲茶碗を持って来て、テーブルの上に置いた。わたくしは啣えていた巻煙草を灰皿に入れ、

「今日は見物に来たんだからね。お茶代だけでかんべんしてもらうよ。」といって祝儀を出すと、女は、

「こんなに貰わなくッていいよ。お湯だけなら。」

「じゃ、こん度来る時まで預けて置こう。ここの家は何ていうんだ。」

「高山ッていうの。」

「町の名はやっぱり寺嶋町か。」

「そう。七丁目だよ。一部に二部はみんな七丁目だよ。」

「何だい。一部だの二部だのッていうのは。