Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なおこ

菜穂子

堀 辰雄

Lesen Sie 菜穂子 (なおこ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.758 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

自分さえもっと年をとってしまい、そうしてもう女らしくなくなってしまえたら、たとえ何処であの方とお逢いしようとも、私は静かな気もちでお話が出来るだろう。――しかし今の私は、どうも年が中途半端なのがいけないのだ。ああ、一ぺんに年がとってしまえるものなら……

そんなことまで思いつめるようにしながら、私はこの日頃、すこし前よりも痩せ、静脈のいくぶん浮きだしてきた自分の手をしげしげと見守っていることが多かった。

その年は空梅雨であった。そうして六月の末から七月のはじめにかけて、真夏のように暑い日照りが続いていた。私はめっきり身体が衰えたような気がし、一人だけ先きに、早目にO村に出かけた。が、それから一週間するかしないうちに、急に梅雨気味の雨がふりだし、それが毎日のように降り続いた。間歇的に小止みにはなったが、しかしそんなときは霧がひどくて、近くの山々すら殆んどその姿を見せずにいた。

私はそんな鬱陶しいお天気をかえって好いことにしていた。それが私の孤独を完全に守っていて呉れたからだった。一日は他の日に似ていた。ひえびえとした雨があちらこちらに溜っている楡の落葉を腐らせ、それを一面に臭わせていた。