Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なおこ

菜穂子

堀 辰雄

Lesen Sie 菜穂子 (なおこ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.758 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

ただ小鳥だけは毎日異ったのが、かわるがわる、庭の梢にやってきて異った声で啼いていた。私は窓に近よりながら、どんな小鳥だろうと見ようとすると、この頃すこし眼が悪くなってきたのか、いつまでもそれが見あたらずにいることがあった。そのことは半ば私を悲しませ、半ば私の気に入った。が、そうしていつまでもうつけたように、かすかに揺れ動いている梢を見上げていると、いきなり私の眼の前に、蜘蛛が長く糸をひきながら落ちてきて、私をびっくりさせたりした。

そのうちに、こんなに悪い陽気だけれど、ぼつぼつと別荘の人たちも来だしたらしい。二三度、私は裏の雑木林のなかを、淋しそうにレエンコオトをひっかけたきりで通って行く明さんらしい姿をお見かけしたが、まだ私きりなことを知っていらっしゃるからか、いつもうちへはお立寄りにならなかった。

八月にはいっても、まだ梅雨じみた天候がつづいていた。そのうちにお前もやって来たし、森さんがまたK村にいらしっているとか、これからいらっしゃるのだとか、あんまりはっきりしない噂を耳にした。何故またこんな悪い陽気だのにあの方はいらっしゃるのかしら? あそこまでいらっしたら、こちらへもお見えになるかも知れないが、私はいまのような気もちではまだお目にかからない方がいいと思う。