Japanische Klassiker mit Furigana
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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme
、あたい、襖をほそ目にあけてみると、ふっと、その人がゆっくりと此方に顔をお向けになった。」
「きみは何時でも、そんな話ばかり見附けているんだね、僕よか余程へんなところを沢山に持っている。その人は一たい誰だというの、そんな人なんかちっとも僕にはめずらしくない、僕にはいろんな女でも、人でも、何時でもふらふら出会わしているんだ。」
「では、話するのやめるわ、今夜も来るかも知れないから、そっと此処に来ていて見ようか知ら。」
「さあ、日が暮れたから、下りよう。」
「え、階段ですれちがいに上って来る人がいるかも知れないわ。しかしおじさまには見えはしないわよ、人間の正気にはね。」
「ばかをいうなよ。」
「気をつけてね、すべるわよ。」
「うん、誰も上って来ないじゃないか。」
「おじさまに、それが判るもんですか。ほら、いま、おじさまは嚏をなすった、ぞっとお寒気がしたのでしょう、ほら、ほら、なんだか、すうとしちゃった。」
「何を見ているんだ。」
「お二階に誰かが上ったような気がするもんですから、おじさま、障子はしめていらしったわね。」
「うん、だが、わすれたかも知れない。」
「おじさま。」