Japanische Klassiker mit Furigana
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みつのあわれ
蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
室生 犀星
Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ (みつのあわれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.662 Zeichen · 174 Bildschirme
きのうも五時だったわ。」
「ええ、五時だったわね、五時という時間にはふたすじの道があるのよ、一つは昼間のあかりの残っている道のすじ、も一つは、お夕方のはじまる道のすじ。それがずっと向うの方まで続いているのね。」
「そのあいだを見きわめていらっしゃるんでしょう、きっと、誰にも見られないように、でも、あたいには、それが見えてくるんですもの。」
「あなたの眼にはとても適わないわ。石の塀の上にいらっしゃるのが、遠くからは、朱い球になっていて見えている。」
「潜り戸からおはいりになってよ、おじさまもいらっしゃいます。退屈してぼうっとしているわよ、何時でもお夕食前になんだか、ぼうっとして気味のわるいくらい黙りこくっているわよ、ゆり子おばさまの来ることを知っているのか知らと思うことがあるわ。知っていて黙っているのか知ら?」
「些とも、ご存じがないのよ、お夕方っていうのは、誰でもだまっていたい時間なのよ。」
「きのうもおばさまの話をしたけれど、ふんと言ったきり後にはなんにも、言わずじまいよ。だから、あたい、お腹が空いているんだと勘ちがいしたんですけれど、余りおあがりにならなかったわ。