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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちのもじ

血の文字

黒岩 涙香

Lesen Sie 血の文字 (ちのもじ) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.021 Zeichen · 87 Bildschirme

Aozora Bunko

第三回(又不審)

身だから、其疑いを避る様に、切て盗坊の所為にでも見せ掛け何か品物を盗んで置くとか此室を取散して置くとか夫くらいの事は仕そうな者だ、老人を殺しながら夫をせぬとは余り馬鹿過ると云う者だ警察官「爾さ別に此室を取散すとか云う様な疑いを避ける工夫は仕て無ッた、殺すと早々逃たのだろう、余り智慧の逞しい男では無いと見える、此向なら捕縛すれば直に白状するだろう」と云い、猶おも目科を小窓の所に誘い行きて小声にて何か話しを初め、判事は又書記に向い是も何やらん差図を与え初めたり。

第三回(又不審)

是にて先ず目科の身の上に関する不審だけは全く晴れたり、彼れは盗坊にも非ず追剥にも非ず純然たる探偵吏なり、探偵吏なればこそ其身持不規則なりしなれ、身姿時々変ぜしなれ、痛く細君に気遣われしなれ、「様」附にも呼ばれしなれ、顔に傷をも受けしなれ、今は少しの不審も無し彼れが事は露ほども余が心に関せず、之に引代て唯痛く余の心に留り初めしは床の上の死骸なり、余が心は全く彼の死骸に縛附られたるに似たり、今まで目科を怪みたるよりも猶お切に彼の死骸を思う、初て死体を見し時の驚きと恐れとは何時しか消えて次第に物の理を考うる