Japanische Klassiker mit Furigana
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ちのもじ
血の文字
黒岩 涙香
Lesen Sie 血の文字 (ちのもじ) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.021 Zeichen · 87 Bildschirme
第八回(太郎の妻)
事を云う」と制し更に余が方に向来りて「今夜は最う置きたまえ、僕は既に眠くなッた。其代り明早朝に又君を誘うから」
実に目科は多年経験を積みし為め事に掛れば熱心に働き通し、其代り又一び心を休めんと決すれば、其休むる時間丈け全く其事を忘れ尽して他の事を打楽しむ癖を生じたる如くなるも余には仲々其真似出来ず「然らば」とて夫婦に分れを告げ居間に帰りて寝て後も唯此事件のみ気に掛り眠らんとして眠り得ず、「あゝ藻西太郎は罪無きに相違なし」と呟き「罪なき者が何故に自ら白状したるや」と怪み、胸に此二個の疑団闘い、微睡みもせず夜を明しぬ
第八回(太郎の妻)
読者よ、初めて此犯罪に疑いを容れたるは実に余なり、余が老人の死骸を見て其顔に苦痛の体なきと其右の手に血の痕なきを知りてより斯は疑い初めたる者なれば余は如何にしても藻西太郎の無罪なるを証拠立てねばならず、のみならず現に無罪と思う者が裁判官の過ちや其外の事情の為め人殺しの罪に落さるゝを見、知ぬ顔にて過さる可きや、余は此事件の真実の転末を知んが為には身を捨るも可なり職業を捨るも惜からずとまでに思いたり、思い/\て夜を明し藻西太郎は確に無罪なりと思い詰るに至りしかど又翻えりて目科の細君が言たる所を考え見れば、余が無罪の証拠と見認むる者は悉く有罪の証拠なり細君の言葉は仮令い目科