Japanische Klassiker mit Furigana
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ちのもじ
血の文字
黒岩 涙香
Lesen Sie 血の文字 (ちのもじ) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.021 Zeichen · 87 Bildschirme
目科は余を従え先ず其店の横手に在る露路の所に立ち暫し店の様子を伺う体なる故、余は気短かく「直に中へ這ろうじゃ無いか」と云う目「いや兎に角細君が店へ出て来る様子を見度い、夫まで先ず辛抱したまえ」とて是より凡そ二十分間ほど立たれど細君は出来る様子なし目「是だけ待て出て来ねば此上待つにも及ぶまい、来たまえ、さア行う」と云い直ちに店の前に進めば十六七なる下女一人、帳場の背後より立来り「何を御覧に入ましょう目「いや買物では無い、外の用事だ、内儀は内か下女「はいお内です、是へお呼申しましょう」とて、早や奥に入んとするを目科は逸早く引留めて自ら其店に上り、無遠慮に奥の間に進み入る、余も何をか躊躇う可き目科の後に一歩も遅れず引続きて歩み入れば奥の室と云えるは是れ客室と居室と寝室とを兼たる者にして彼方の隅には脂染たる布を以て覆える寝台あり、室中何と無く薄暗し、中程には是も古びたる切を掛し太き卓子あり、之を囲める椅子の一個は脚折れて白木の板を打附けあるなど是だけにても内所向の豊ならぬは思い遣らる。
去れど是等の道具立てに不似合なる逸物は其汚れたる