Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちのもじ
血の文字
黒岩 涙香
Lesen Sie 血の文字 (ちのもじ) von 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.021 Zeichen · 87 Bildschirme
可しとも思われず、然らば家内同様に此家に入込てプラトを手懐得る人の中と認るの外なく、凡そ斯る人なれば益々以て倉子が知れる筈なるに露ほども其様子を見せぬのみかは勉て其の人を押隠さんとする所を見れば倉子のためには我が所天より猶お大切の人としか思われず、あゝ我が所天よりも猶お大切のひとあるや、有らば是れ何者なるぞ。
茲まで考え来るときは倉子に密夫あるぞとは何人にも知るゝならん、密夫にあらで誰が又倉子が身に我所天よりも大切ならんや、唯だ近辺の噂にては倉子の操正しきは何人も疑わぬ如くなれど此辺の人情は上等社会の人情と同じからず上等の社会にては一般に道徳最と堅固にして少しの廉あるも直に噂の種と為り厳しく世間より咎めらるれど此辺にては人の妻たる者が若き男に情談口を開く位は当前の事にして見る人も之を怪と思わねば操が操に通らぬなり、殊に又美人の操ほど当に成らぬ者は無く厳重なる貴族社会に於てすらも幾百人の目を偸みて不義の快楽に耽りながら生涯人に知れずして操堅固と褒らるゝ貴婦人も少なからず、物を隠すには男子も遙に及ばぬほど巧なるが凡て女の常なれば倉子も人知れず如何なる情夫を蓄うるや図られず、若し情夫ありとせば其情夫誰なるや、如何にして見破るべきや。