Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きく

親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選

山川 方夫

Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

私をだまさない瓶や壺のような、美しい『物』のほうがね」

われながら平凡な答えだった。――突然、けたたましく老婆は笑いだした。大きな鳥の声のような、よくひびく奇妙な笑いだった。

「あなたはまだ若いよ」と、老婆はいった。

「若い?」

「そうだ、若い」笑いながら、老婆は立上った。「私もあつめているんだよ。でも、それは、それにだまされるのが好きだからさ。私をだましてくれないようなものなんかに、なんの値打ちがあるかね」

戸棚をひらくと、老婆はその奥から、一本の細い麻紐で繋げられた奇妙なものを出して、両手で糸の端を持った。干魚か糸を通された黒ずんだ干バナナのようなものの列が、音もなく彼の目の前で揺れ動いた。それは、しなびて古びた椎茸の茎の列そっくりに眺められた。

「これだよ、私をだましてくれるものは」

淡々と、老婆はいった。

「私も、はじめは私をだますものが憎かったよ。こいつがいけないんだ、こいつが私をだまし、ありもしない繋がりやばかげた夢の中に、私を引きずりこんでしまう根っこなんだ、こいつこそが、私にさまざまな幻影をみせる根っこなんだ。こいつさえなければ、って私はよく考えたものさ。