Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ひょうしゃくかんにんき
評釈勘忍記
山本 周五郎
Lesen Sie 評釈勘忍記 (ひょうしゃくかんにんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.889 Zeichen · 36 Bildschirme
それは組がしらに就任したのは六十五人のかれらであって、自分はかれら全体を長官とする唯一人の部下であるという気持だった。海辺の蟹は時化の襲来を予知するそうであるが、事実とすれば、庄司千蔵にも蟹的予知力が有ったに違いない、彼の受けた印象は誤らなかった。かれらが正しく長官であって、然も長官族の中で最も長官らしい長官だということは、就任十日めにして次の如く証明されたのである。
「ちょうど季節だから泳ぎの稽古を始めたいと思うがどうだろう」
千蔵はその小頭である須井栄之助を呼んでこう云った。
須井栄之助は「結構ですね」と答えながら、えいと叫んで片手を振り、眼の前に飛んでいる蠅をあっさり掴んだ、蠅捕り蜘蛛のような男である。
「――ではいつ始めようか」
「さよう、いつでもいいでしょう」
「明日からでよかろうか」
「いいでしょうな」
「では明日からとして、場所や師範者は定っているのだろうな」
「場所は川でも海でも沼でも池でもお好み次第です、お城の濠以外はどこで泳いでも心配はありません、師範者というのは私は知りませんが、御希望なら捜させましょうか」
「御希望――」千蔵は唾をのんだ、「自分は別に希望もなにもないが、従来それでは師範者なしにやって来たのか」