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Japanische Klassiker mit Furigana

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おつきさまのうた

豊島与志雄童話集

豊島 与志雄

Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme

Aozora Bunko

「千草姫!」と王子は叫ばれました。何の答えもありませんでした。

しばらくすると、王子のすぐ側でやさしい声が響きました。

「王子様!」

王子はびっくりされて、今まで垂れていた頭を上げて見られると、そこに千草姫が立っていました。王子はいきなり姫にすがりつかれました。

「よく来て下さいました。とうとうお別れの時が参りました」と姫は言いました。

王子は嬉しいやら悲しいやらで、口も利けないほどでありましたが、しばらくすると、いろいろなことを一緒に言ってしまわれました。

「なぜお別れしなければならないのですか。なぜ私をちっとも迎えに来て下さらなかったのですか。お月見の晩にここに来ましたのに、なぜ逢って下さらなかったのですか。あなたは亡くなられたお母様ではありませんか。言って下さい。私に聞かして下さい。私はもう側を離れません。お城の中にも帰りません」

千草姫は何とも答えませんでした。そして王子の手を取ったまま、芝生の上に坐りました。

「私はあなたのお母様ではありません。けれど私を母のように思われるのは、悪いことではありません。私達は、あらゆるものを生み出す大地の精なのですから。