Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
正覚坊は何度もお辞儀をして、後ろをふり返りふり返り泳いで行きました。その姿が波の向こうに見えなくなってからも、平助はぼんやりそこに立っていました。
やがて、早くも夜が明け放れて、村の人達は沼狩りを始めました。しかしもう正覚坊がいなくなった後のことです。いくら狩り立てても取れません。一同は諦めて帰って行きました。
それからというものは、平助はまるで気抜けのようになりました。そして、毎日沼のほとりに出ては、かの大石を正覚坊の姿に刻み始めました。平助が正覚坊に憑かれたという噂がぱっと村中に広がりました。しかし平助は、実は真面目で一生懸命だったのです。
正覚坊の像がいよいよでき上がった夕方、平助は村の網元の家へ行って、そこの御隠居に、一部始終のことをうち明けました。御隠居はびっくりしました。なおその上びっくりしたことには、翌朝平助は死体となって沼に浮かんでいました。酒に酔ったあまり溺れ死んだのか、あるいは身を投げて死んだものか、誰にもわかりませんでした。けれども、その前の晩、正覚坊の像にもたれてしくしく泣いていた平助の姿を、月の光りで見たという者がありました。