Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
「馬方の甚兵衛さん、お願いですから、助けて下さい」
初めびっくりした甚兵衛は、話しかけられたのでなおびっくりして、立ち止まってよく見ますと、人間とも猿ともつかない顔付をし、体のわりには妙にひょろ長い手足の先に、山羊のような蹄が生えていて、まっ黒な一重の短い胴着の裾から、小さな尻尾がのぞいていました。
「おやあ、変な奴だな」と甚兵衛は言いました。「お前は一体何だい?」
「山の小僧ですよ」
「山の小僧だって?」
その時甚兵衛は、ある書物の中に書いてあった絵を思い出しました。顔が人間と猿の間で、手足の先が山羊のようで、小さな尻尾があって、まっ黒な胴着をつけてるのが、悪魔の姿として絵に書いてあったのです。
「嘘を言うな」と甚兵衛は言いました。「お前は悪魔の子供だろう」
「ええ、悪魔の子供です。山の小僧とも言うんです」
「あはは、悪魔の子供か」と言って甚兵衛は笑い出しました。「悪魔の子供が、何だってこんな所にまごまごしてるんだい?」
そこで悪魔の子は訳を話してきかせました。それによると、この悪魔は、一週間ばかり前の暖かい日に、五六人の仲間と一緒に山から出て来て、田畑の中を駆け廻ったり土の下にもぐったりして、おもしろく遊んでいましたところが、遊びにまぎれてうっかりしてるうちに、一匹の猟犬からふいに尻尾へかみつかれました。