Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
観音様がだんだん重くなっていくようでした。
夜叉主としては、こんなにみんなから敬いあがめられている観音様を、わるだくみのたねに使ったことが、とてもくやまれてならないからでした。
そして船の近くまで来ると、夜叉王は心の苦しみにたまりかねて、ばったり倒れました。その時、額をうって、傷をうけ、黒い血がだらだら流れました。
夜叉王はまた起きあがりました。額からはもう、赤い血が出ていました。そして、泣きながら顔長の長彦に頼みました。
「私も、観音様といっしょに、水にはいらせてください。観音様のおともをして、いつまでも、この湖水を護りとうございます」
それは、真心のこもった言葉でした。長彦はじっと夜叉王のようすを見、深くうなずいていいました。
「今日は、そういうわけにはいかないが、お前のことは、私が考えておいてあげよう。私にまかせておくがよい」
そうして、一同はめしつかいたちを残して、船にのりこみました。
船は沖へこぎだしました。沖の深い所までいくと、そこで、観音様はしずかに水へはいられました。
坂の上の朝臣のはからいで、鞍馬の夜叉王のことは、すっかり顔長の長彦にまかせられ、京の大臣の馬は、顔丸の丸彦がもらいうけました。