Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
そして近頃、その奇術の紳士が、さっぱり来なくなりました。マリイが店にでるようになってからは、一度も来たことがありませんでした。
その紳士が、マリイの父親と同じ顔なんです。マリイの父親は二年も前に死んでるらしいんですが、どうもふしぎです。それから、マリイのところに誰からともなく届けられたたくさんのお金……。
あの紳士があやしい、あれをつかまえてみよう……とトニイは考えました。
ところで、その奇術の紳士は、どこに住んでるどういう人かわかりませんでした。トニイは困りました。店をだすのもやめて、町の中をあるきまわり、ことに港の方をあるきまわりました。あの紳士がよく海に出るらしいのを知っていたのです。
二三日むだに探しあるいた後、トニイは晩おそく、港のではずれのさびしい海岸にでて、そこのてすりにもたれて考えこみました。
港はあちこちに多くの船がとまっていて、その燈火が海にちらちらうつっていました。その間を、いっそうのモーターボートが、すばらしい速力で走ってきました。まっすぐに、トニイがいるさびしい岸の方へやってきました。
おかしな舟だ……とトニイは感じて、物かげにかくれました。