Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
そして不思議なことには、その入口はみな、がんじょうな戸が締めきってありました。
キシさんは馬車から下りて、家の戸を一つ一つ叩いてまわりましたが、誰も開けてくれる者はなく、返事もなく、家の中には人のけはいもありませんでした。
「おかしい。誰もいない」
太郎も馬車から下りて、家の戸を叩いてまわりました。
「どこにも、誰もいませんね。どうしたんでしょう」
キシさんと太郎とは、なお村の中を見てまわりましたが、やっぱり人の気配はしませんでした。それから村の横手には、大きなにごり池がありまして、その岸に、亀が幾匹かいて、きょとんと頭をあげて空を見ていました。
「はっはっは……」
キシさんは笑いました。
「人間のかわりに亀がいる」
亀はその声に驚いたように、どぶん、どぶんと、池の中に滑りこんでいきました。その時、太郎はふと思いだしました。一郎のおじさんが持っていた剥製の鳥のこと、その二つのくちばしの鳥と亀の話……それがどうやら、この池であったことかもしれません。こんな北の国に亀がいるのは珍しいことです。
太郎はキシさんを引っぱっていって、馬車に戻りました。そして、一郎のおじさんからもらった不思議な地図をだし、眼鏡をのぞいて調べました。