Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さけぬさんざ

避けぬ三左

山本 周五郎

Lesen Sie 避けぬ三左 (さけぬさんざ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.846 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

五

ていた。

こうして国吉三左衛門は、まったく無口な、動く木像のような存在となったのである。

さて小田原征討がまさしくはじまったのは、天正十八年二月一日のことであった。先鋒たる徳川家康は二月二日に出馬。酒井、榊原、本多、平岩、鳥居、大久保これら旗下精鋭の軍を第一線に、犇々と箱根の敵塁へおしよせたのである。……しかしここで精しく歴史を記すいとまはない、俗に「小田原評定」というくらいで、この時は敵も味方もいろいろ錯雑した理由のため、合戦までにかなり多くの日をついやした。そしてようやく三月二十九日早朝敵の前衛たる山中城、韮山城への攻撃をもって、いよいよ北条氏討伐の火蓋は切っておとされたのである。山中城には、大将松田やすなが以下、四千余人の軍兵がたてこもっている。寄手は中納言秀家を総大将として三万余、二十九日の未明を期して合戦を挑んだ。……これには徳川軍の一部も加わり、なかにも戸田左門、青山虎之助などはぬきんでた働きをしているが、わが国吉三左衛門もその一人だったのである。

五

三左衛門は大股に進んでいった。……矢弾丸は雨の如く飛来する、硝煙と、土埃のはためきなびく最前線だった。